クライアントというべきものを全て敵に回し、愛を語る情熱。


そして非常識なその愛情表現方法。



…まぁ、冗談だろう。


恋心からその表現方法まで全て。


そう結論付けたのを見透かすように電話を終えた彼女が口ずさんだ。



「アタシが作り与える終焉。アタシの愛の大きさを五感で感じて永遠を知るっつー壮大なラブストーリィ―っすわ。」


「…じょうだん…」


「ぅわ!言葉は信じない系!?無言実行モアベスト!?男前っすわー!!」



感極まって身を乗り出した彼女と彼の目がかち合う。




「…なにしてくれんの。いきなりと。」



きらっきらの笑顔で彼を見詰めたまま、彼女は軽く開いていた掌を握った。


その握られた手にはいつの間にかナイフの柄。


何という事ではない。


彼が弾き放物線を描いて落下してきたナイフを彼女が受けとめただけのコト。


その前に彼女がナイフで踊りかかってきたワケだが。