手順となる見本は全て男が見せてくれる。
―――何故なら、
至と男の子の傷はコピーと言えるほどに似たものなのだから。
少年は男の動作の一つ一つを見過たず見、後は己の腕にかけて忠実に再現していった。
何故だ。
至が怪我を負った場面はない。
しかも何故、男の子と同じ傷になる。
ナ ゼ ?
少年の疑問に男が応えたのは手術も終わった縫合の最中。
患者二人はこのままいけば一命を取り留めるだろう。
少年は怪訝に眉を顰め、うろ覚えの知識から応えた。
「聖母マリアの化身って言われとる幻の百合。やろ?」
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