ササが來華の手を引いて部屋を出て行った。

直唯さんは座り込んだまま床の一点を見つめている。


その目は憎しみの色が見える。



……実は、もともとこの組を継ぐのは直唯さんだったりする。

代々続く、ヤクザとは言えないとてもいい組。

現当主は今60歳。


ササが生まれた時は40を超えていた。

奥さんもそのころは39で、もう子どもは諦めていたらしい。

その頃、直唯さんは17の若造。

けど、とても有能だったらしい。


そこで、次の当主は直唯さんじゃぁないかと言われていた。

勿論直唯さんももうその気で、進んで仕事に取り組み、現当主について行った。


…けど、そんな時に生まれたのがササ。

しかも男の子だったためにすぐに次の党首に、と決まった。



皮肉にもササの世話役に回された直唯さん。


と、ここまでを昔ササのお母さんにきいた。

ササのお母さんは「きっと憎んでるでしょうね…。よく殺さなかったわ」


と話していた。

多分、それ以上に現当主に忠誠を誓っているんだろう。


とも。