お嬢様になりました。

「ありがとう。 でも、ごめん」



私は芽衣の手を振りほどき、海堂の所へ向かった。



「お前、この俺に何したか分かってんの?」

「申し訳ありませんでしたッッ!!!!」



海堂の冷たい声に、今にも泣きそうな顔で謝る男子生徒。


男子生徒の声は震えていた。



「何したか知らないけど、その足退けなよ」

「あ?」



不機嫌な顔のまま私を見下ろす海堂。


こんな奴に見下ろされるなんてなんちゅう屈辱。



「関係ない奴は引っ込んでろ」

「人の楽しいお昼の時間邪魔しといてよくそんな事が言えるね。 だいたい、そこまでしなきゃいけない様な事その人があんたにしたわけ?」

「お前の脳みそカスかよ。 俺の事は海堂様って呼べって言ったはずだ」

「ふんっ」



鼻で笑うと海堂は青筋を立て更に怒りを露わにした。



「馬鹿はあんたの方でしょ? 誰が様なんて付けて呼ぶのよ。 考えただけで吐きそう」

「お前……調子のってんじゃねぇよ」



海堂の手にグッと力が入り、すぐさま拳へと変わった。


こいつ怒るとすぐ手やら足が出るタイプか。


ボンボン暴君め。