お嬢様になりました。

ハヤシライスを口にいれしみじみしていると、突然大きな音がカフェ内に響いた。


な、何！？


キョロキョロ辺りを見渡すと、一人の男子生徒が床に倒れていた。


その男子生徒は体を起こすとそのまま正座をして両手を床に添えた。



「あの人……何してんの？」

「海堂さんに何か粗相をされたんだと思いますわ」

「へ？ それどういう意味？」

「あの方は海堂さんの取り巻きのお一人ですの」



取り巻き！？


どこまでも偉そうな奴。


さっきまで見えなかったが、海堂が立ち上がりオレンジ頭が露わになった。


海堂は不機嫌に目を細め、足を上げると勢いよく下におろした。



「なッ！！」



その足は男子生徒の手の上に落とされ、男子生徒の顔がどんどん歪んでいく。


思わず立ち上がると、芽衣に腕を掴まれた。


「いけませんわ」

「何で！？ あのままじゃあの人ヤバイじゃん！！」

「ですがッ、私は葵さんには海堂さんと揉めてほしくないんですッ！！」



芽衣の泣きそうな目を見て、少しだけ戸惑った。


芽衣の気持ちは嬉しい。


だけど、このまま見て見ぬ振りなんて出来ない。