お嬢様になりました。

机に項垂れていると、腕を誰かに叩かれ顔を上げた。


すると前の席の女の子が、不安そうな顔をして私の事を見ていた。



「本当に海堂(カイドウ)さんの事、ご存知ではございませんの?」

「海堂?って、私の隣の男の事?」

「そうですわ」



そんなに有名な人なの?


私は首を横に振った。



「本当に知らないんだよね。 もしかして芸能人とか?」



芸能人とかってあんまり興味ないからよくわかんないんだよね。


それに、芸能人だったらあんなに怒ったのも頷ける。


あれは怒り過ぎだと思うけど。



「芸能人ではありませんが、とても有名な方ですのよ。 海堂グループのご長男で、隆輝(リュウキ)さんと仰いますの。 よくメディアにもお顔をお出しになってますわ」

「海堂グループ?」

「海堂グループの事もご存知ではありませんの!?」



信じられない!!


とでも言いたそうな目を向けられ、私は首をかしげる事しか出来なかった。



「宝生院グループと並ぶ程の資産家で、世界各地でホテルを経営なさっておりますのよ!?」

「そ、そうなんだ……」



あまりの力説に圧倒されてしまった。