お嬢様になりました。

男は机に拳を叩きつけた。


静かな教室に大きく響き、周りの空気が凍りついていく感じがした。


それでも私は男から目を離さなかった。



「宝生院だからって俺に楯突く様なら容赦しねぇ」

「楯突く? 勝手に突っかかってきたのはあんたの方でしょ」

「お前ッ」



えっ!?


男は拳を振り上げ、私は驚き過ぎて身動きが取れなかった。


殴られるッッ。


咄嗟に目を瞑ろうとした時、誰かの手が男の拳を受け止めた。


え……?


見上げるとそこには……



「相模、先生……」



相模先生は表情を変える事なく、涼しい顔で男を見下ろしている。



「女相手に手を出すな」

「うるせーよ」



男は相模先生の手を振り払うと、立ち上がりそのまま教室から出て行ってしまった。


なんて偉そうな歩き方。



「朝のホームルームはここまでだ」



そう言うと、相模先生は何事もなかったかの様に教室から出て行った。


机に項垂れると、思わず大きなため息が漏れた。


転校初日、朝から大変過ぎる。


私本当にやってけんのかな……このクラスで……。