お嬢様になりました。

「はい」



理事長室から落ち着いた低い声が聞こえ、私は深呼吸した。


ドアノブを握り重そうなドアをゆっくり押した。



「失礼します。 宝生院ですが、ご挨拶に伺わせて頂きました」



普段使わない様な敬語に舌を噛みそうになる。



「ようこそ、鳳学園へ」



爽やかに微笑む目の前の男性。


思っていたよりも随分若そうで驚いた。


三十歳半ばくらいかな?


お祖父ちゃんの知り合いだって言うから年配の人だと勝手に思ってた。



「中々来ないから心配していたよ」

「すみません、迷ってしまって……」



こんなに広い場所で迷わない筈ないじゃん。



「それは申し訳なかったね。 私はこの学園の理事長を務める鳳です。 学校生活の中ではあまり関わる事はないかもしれないが、困った事があれば遠慮なくいつでもここに来なさい」

「はい。 ありがとうございます」



鳳理事長は机の抽斗の中から何かを取り、立ち上がった。


直ぐ目の前に立った鳳理事長に圧倒される。


座ってたからわかんなかったけど、この人背が高い。



「ここに寄ってもらったのは挨拶もしたかったんだが、これを渡したかったんだ」