お嬢様になりました。

私の差し出した手を見つめ、いっこうに握ろうとしない。



「大丈夫? どっか痛めた!?」

「あ、いえッ……大丈夫です」

「そっか、良かった。 じゃあ、はい」



笑って手を近づけると、彼は戸惑いながらも私の手を取り立ち上がった。


物静かそうで優しそうな人。


それが私の第一印象だった。



「ねぇ、良かったら理事長室の場所教えてくれない?」

「理事長室ですか?」

「うん。 今日転校してきて挨拶に行きたいんだけど、迷子になっちゃったんだよね」

「僕で良ければご案内しましょうか?」

「いいの!? ありがとうっ」



笑顔でお礼を言うと、彼は照れたように頬を赤く染めた。


なんだか初々しくて可愛い人だな。



「私、宝生院 葵。 因みに二年生。 宜しくね」

「ほ、宝生院さ、ん!?」



この反応……華の時と一緒。


思わず苦笑いが漏れた。



「貴方の名前聞いてもいい?」

「ぼ、僕のッでで、すか!?」

「うん」



そこまで慌てなくても……。



「ぼ、僕は山口 聡(ヤマグチ サトル)です。 僕もに、二年生ですッ宜しくお、お願いしますッ」