お嬢様になりました。

「荒木さん……戻ってきてくれて、ありがとうございます」

「東條様が旦那様にお口添え下さったおかげです」

「え、東條って……玲の事ですか?」

「はい」



玲が……そんな事一言も言ってなかったのに……。


私の知らないところで動いてくれてたんだね。



「葵お嬢様の心が不安定な時こそ、葵お嬢様が信頼している執事を側におくべきだと、旦那様に仰って下さった様です。 私には勿体ないお言葉であり、そのお言葉をより確かなものにする為、これからもどうぞ宜しくお願い致します」



荒木さんは座ったまま頭を深々と下げた。


今にも膝へ頭が付きそうな程深く。



「私の方こそこれからも宜しくお願いしますっ!!」



私も荒木さんに負けないくらい深く頭を下げた。


玲の想い、荒木さんの想いに、今にも泣いてしまいそうだった。


玲にもらった恩を、どうやって返したらいいんだろう。


目に涙が滲んでいくばかりで、いくら考えても思い浮かばなかった。