お嬢様になりました。

ゆっくりと顔を後ろに向け、私は驚きのあまり目を見開いた。



「あ、らき……さん?」

「長い間お暇を頂き、申し訳ありませんでした」



深く頭を下げる荒木さんにガバッと抱き付いた。



「荒木さん!! お帰りなさいっ」

「ゴホンッ。 葵お嬢様ともあろうお方が執事などに抱き付いてはなりません」



浅賀さんは態とらしく咳払いをすると、硬く冷静な口調でいつもの様に言い放った。



「いいじゃないですか!! だって嬉しいんだもん!!」



強引に体を離されブスくれると、荒木さんがクスッと笑った。


今の顔、レアだ……。



「葵、飛行機だの何だのの手配は心配せずともよい。 ただし、荒木と内藤を連れて行きなさい。 詳しい場所なら荒木に伝えておる」

「え?」

「帰ってきたら話を聞かせておくれ」

「お祖父ちゃん……ありがとうっ!!」



お祖父ちゃんに駆け寄り、ギュッと抱き着き私は急いで食堂を出た。


自分の部屋に飾っている両親、そしておばあちゃんの写真の前で手を合わせ目を瞑った。


おばあちゃん、お父さん、お母さん、いってきますっ!!


靴を履き、簡単に準備を済ませ部屋を出ると、荒木さんが待っていてくれた。



「玄関先へ車をお回しておりますが、ご準備は宜しいですか?」

「はいっ!!」



私は荒木さんの手を取り、急ぎ足で玄関へ向かった。