お嬢様になりました。

タクシーを捕まえ家に帰り、慌てて家の中を走っていると、メイドさんたちが皆驚いた顔をした。


そんな事は御構い無しに、私は走って書斎に向かった。



「お祖父ちゃんッ!!」



ノックも無しに乱暴に書斎のドアを開けた。


そこにはお祖父ちゃんの姿はなかった。



「葵お嬢様!! そんなに慌ててどうなさったのですか!?」

「丸井さん!! お祖父ちゃん何処ですか!?」

「旦那様なら食堂に……」

「ありがとうございます!!」



丸井さんの言葉を最後まで聞かずに、私は走って食堂に向かった。


途中パンプスが煩わしくなり、走りながら脱ぎ捨てた。


絨毯の上をタイツを履いた足で踏み、さっきよりも軽快に足が動いた。


食堂のドアノブを勢いよく掴み、思いっきりドアを開けた。



「お祖父ちゃんッッ!!!!」

「なんじゃ騒々しい……心臓が止まるかと思うたぞ」



お祖父ちゃんはナイフとフォークをお皿の上に置き、ナプキンで口元を上品に拭った。



「夕食は外で食べてくるんじゃなかったのか?」

「そんな事はどうでもいいよ!! 隆輝の居場所教えて!!」

「そんなに大声を出してははしたないですよ、葵お嬢様」



懐かしい声に耳を疑った。