お嬢様になりました。

どうしよう……涙が止まらない。


嗚咽まで出てきちゃって息もまともに出来ない。


苦しい。


だけど、胸はもっともっと苦しかった。



「ど、して……っ、そんなにっ……やっさしい、の……っ?」



肩を抱く玲の手にグッと力がこもった。



「優しくなんかない。 葵がふられればいいのにって思ってる。 そうすれば、葵をこの腕の中に閉じ込められるのにって……思ってる」



玲の言葉に思わず笑みが零れた。


やっぱり玲は優しいよ。


こんな私をいつだって受け止めようとしてくれるんだもん。



「ありがと……っ」

「…………」



暫くの間は私の嗚咽、鼻を啜る音だけが響き、観覧車が地上に着くまで、私たちの間に会話はなかった。



「葵っ」



観覧車を降り足を進めていると、玲に名前を呼ばれ立ち止まった。


振り返ると、すこし離れた場所に玲が立っていた。



「どうしたの?」

「宝生院会長が海堂の詳しい所在地を知ってる」

「お祖父ちゃんが?」



なんでお祖父ちゃんが知ってるの?



「それから、あの日あ……を……のは、……よ」

「……え?」



途中凄い勢いで突風が吹き、玲の声が聞こえにくくなったが、微かに聞こえた。


信じられない言葉が……。



「詳しい話は直接本人に聞くといい」

「ッッ……!!」



胸につかえていた何かが弾け飛び、私は駆け出し無我夢中で走った。