お嬢様になりました。

皆からの視線から外れ、玲と一緒に居る車内は凄く落ち着いた。



「執事、変わったの?」

「私の所為で……荒木さん辞めさせられちゃった……」



隣に座る玲は、何も言わずにただ私の手をギュッと握った。


私は握り返さなかった。


これ以上玲の優しさには甘えちゃいけないから。



「もうすぐ冬休みだね。 冬休みの予定は?」

「まだ何も決めてない。 玲は仕事?」

「仕事だけど、休みもあるよ。 だから一緒に何処かに出かけない?」

「……いいよ」



私は口角を上げ、玲に微笑んだ。


玲には自分の口からちゃんと話しをしよう。


隆輝との事、自分の気持ち……自分の言葉で話しをしたい。



「何処に行きたい?」

「んー……まだ思いつかないから、考えておくね。 玲は行きたいところとかないの?」

「俺も考えておくよ」



玲といると落ち着く。


けど、ドキドキもする。


この気持ちが何なのか今までよく分からなかった。


どうして特別な存在なのかも……。


でも漸く分かった。


玲に対するこの気持ちはただの憧れ。


私と違って煌びやかな世界にいて、それが様になってて、優雅で、懐が大きくて……私にはないものをたくさん持ってる人。


隆輝もそうかもしれないけど、何故だかそういう風に感じさせないんだよね。