お嬢様になりました。

「どうぞ」

「……ありがとうございます」



内藤さんからティーカップののったソーサーを受け取ると、フワッといい香りがした。



「これ、何ですか?」

「カモミールティーです。 少し落ち着くと思います」



内藤さんの愛嬌たっぷりの笑顔に見守られる中、私はティーカップに口を付けた。


熱くもなく温くもなく、ちょうどいい温かさに身体の力が抜けていく。


味もあっさりしていて飲みやすい。



「凄く美味しいです。 ありがとうございます」

「とんでもないです。 この様な事しか出来ず申し訳ないです」



シュンッと眉尻を下げ悲しそうな顔をする内藤さん。


表情が豊かで荒木さんとは正反対な人。



「昼間はごめんなさい」

「昼間ですか?」

「内藤さんの事が嫌いだとか、そういうんじゃないんです。 ただ、荒木さんの事はとても信頼してるので、いきなりの事に動揺してしまって……」

「お気になさらないで下さい。 たかだか執事の為に、あそこまで仰って下さっている葵お嬢様を見て、本当に素敵な方だと思いました」

「たかだか執事だなんて言わないで下さい。 私は執事の皆さん、メイドの皆さんに凄くお世話になってるんですから」