お嬢様になりました。

部屋に入り、ソファーに腰掛けた。


お婆ちゃん、お父さん、お母さんと撮った家族写真が目に入り、ホッとため息が零れた。


やっとここに帰ってこれたんだ。


一週間も経ってないのに、凄く長く感じた。



「葵お嬢様」

「何ですか?」



浅賀さんは少し躊躇いがちに言葉を漏らした。



「旦那様の事ですが、お気を悪くなさらないで頂けませんでしょうか」

「…………」



何て返していいのか分からなかった。


だってそれは、今の私には難しい事だから……。



「旦那様は葵お嬢様が誘拐されたと聞き、ワシントンから急いで日本へ帰国されました。 今にも倒れてしまいそうなほど青い顔をされておりました」

「…………」

「病院で葵お嬢様のお姿を見て涙を流されておりました。 葵お嬢様が目を覚まされるまで、ずっとお傍に着いていたいと仰ってベッドから離れようとなさいませんでした」

「そう、だったんですか……」



お祖父ちゃんの気持ちも痛いほど伝わってる。


でも……それでも荒木さんを辞めさせるのは納得出来なかった。


俯く私にそれ以上何かを言う事はなく、浅賀さんは静かに部屋から出て行った。


一人になった瞬間、ドッと全身が重くなり、ソファーに倒れこむと目を閉じた。