お嬢様になりました。

行儀が悪いと思いながらも、キョロキョロと部屋の中を見てしまう。


こんなに豪華な部屋、今まで見たことない。



「葵、来てくれて本当に嬉しいよ」

「ううん、誘ってくれてありがとう。 でも、今日は朝から驚いてばっかりで、もうちょっと疲れちゃった」

「驚かせてしまってすまない。 じゃが、口で説明するよりも、実際に見てもらった方が早いと思ったんじゃ」



確かにね。


この凄さを口で説明されたところで、半信半疑になってたと思う。


だって実際に見てるっていうのに未だに信じられない自分がいる。



「聞きたい事があるんだけど……」

「何じゃ?」

「お祖父ちゃんはどうしてお婆ちゃんと離れたの?」



ずっと気になっていた事。


口にしようか迷ったが、モヤモヤしたままは何だか胸の中が気持ち悪くて嫌だった。



「菊代と結婚して里美がまだ幼かった頃、ワシはどうしようもない仕事人間じゃった。 家庭も顧みず、取り憑かれた様に仕事に没頭した」

「…………」

「仕事に明け暮れている最中、菊代が突然会社を訪ねてきたんじゃ。 離婚届を持って……」

「お婆ちゃんが!?」



あのおっとりしたお婆ちゃんが離婚届を持って会社に押し掛けるなんて、全くもって想像出来なかった。