お嬢様になりました。

翌日の午後、華と竜樹がお見舞いにきてくれた。


私に抱きついたまま泣きじゃくる華に戸惑った。



「何で何も言ってくれなかったの!? 力になれたかもしれないのにっ!! そんなに頼りない!?」

「変なところでおめぇは水くせぇんだよ。 無事だったから良かったものの、万が一の事が起こってたらシャレになんねぇんだぞ」



竜樹の重たく真剣な声に思わず視線を落とした。


二人に凄く心配かけちゃったな……。



「ごめん……二人を巻き込みたくなかっ……」

「それが水くせぇっつってんだよッ!!」



竜樹の怒声に泣いてしまいそうだった。


怖いからじゃない。


普段私に対してここまで本気で怒る事のない竜樹が、今は目を釣り上げ怒鳴っているのは本気で心配してくれているから。


巻き込みたくなかったとはいえ、私は二人との友情を踏み躙ってしまった。



「……っ」



頭に重みを感じ顔をあげると、竜樹のゴツゴツした手がのっていた。


頭をクシャクシャされ、やっと止まったと思ったら、人差し指でビシッとおでこをさされた。



「今後隠し事はなしだからな。 俺たちはダチだろうが。 変な気遣ってんじゃねぇよ。 気持ちわりぃ」