お嬢様になりました。

今、何て……?


天国?


天国って何?


頭の中が真っ白になった。



「よく、わかんないんだけど……」

「海堂がいる限り僕たちは一緒になれない。 だから、あいつが居ない所で幸せになるんだよ」



微笑む彼の手に光るものを見て、段々と血の気が引いて行く。


ナイフ……。


フルフルと顔を振ると、彼が静かに歩み寄ってきた。



「痛くないよ。 大丈夫、僕を信じて?」

「っ……」



ヤダ……。


イヤ……っ!!



「来ないでッ!!」



彼は私の口を無理矢理こじ開けると、口の中に何かを入れた。


っ……薬!?


吐き出そうにも口をしっかりと押さえつけられ吐き出せなかった。


せめて飲み込まないようにしなきゃっ。


けど彼がそんな事を許してくれる筈もなく、彼は側に置いてあるペットボトルの水を口に含み、強引に唇を重ねてきた。


生ぬるい感覚に吐き気がした。


薬が喉を通ると同時に涙が零れた。


こんな奴の思い通りになんかならないっ!!


私は縛られた足で必死にもがき、ソファーから転げ落ちた。