お嬢様になりました。

私は首を横に振った。


息が乱れて上手く呼吸が出来ない。



「海堂になんか君を渡したくない。 君は僕のものだ」

「っ、結婚なんて出来、ない……」

「どうして?」



意味が分からないとでも言う様に首を傾げる彼に、更に恐怖を感じた。


まともじゃない。



「だって、同じ歳でしょ? そんなの許されない……」

「あはは、それなら心配ないよ。 僕たちを邪魔するものはなにもない」



彼はボックスから指輪を取ると、私の背中に手を回し、私の指に指輪をはめた。



「そうだ、まだ鏡を見てなかったね。 ちょっと待ってて」



鏡?


彼は立ち上がると軽やかな足取りで何処かへ行ってしまった。


ホッと胸をなでおろすも、手足を縛られた状態ではどうする事も出来なかった。



「お待たせ。 どう? 君をイメージしてデザインしたんだ」



鏡に映る自分の姿を見て驚愕した。


何この格好……。


制服を着てた筈が、何故か純白のドレスを身に纏っていた。


これってウェディングドレス?


ソファーに横になっている私の周りは無数の薔薇で埋め尽くされていた。



「デートよりも先に結婚しよう。 そして天国で幸せに暮らすんだ。 今よりも幸せな時間が訪れるよ」