お嬢様になりました。

浅賀さんは見事な装飾を施された扉の前で足を止め、私も自然とその場で足を止めた。


ドアをノックする音が廊下に響き、私の緊張がピークを迎えようとしていた。



「旦那様、葵お嬢様をお連れ致しました」

「入れ」



浅賀さんがドアを開け、私の心臓は緊張のあまり止まってしまいそうだった。



「失礼致します」



浅賀さんに続いて部屋に入ると、ソファーにくつろいで座っているお祖父ちゃんがいた。



「よく来たな。 疲れただろう? 先ずは掛けてゆっくりするといい」

「う、うん」



戸惑いながらもお祖父ちゃんの前のソファーに腰を下ろした。


なんて広い部屋なの?


それに絵だの壺だのどれも高そうなものばっかり。



「葵、紅茶は好きかのう?」

「うん、好きだよ」

「そうか、そうか」



お祖父ちゃんは私に向かって柔らかい笑みを零し、直ぐに浅賀さんに目を向けた。



「紅茶を用意してくれ」

「畏まりました」



浅賀さんはお腹と腰に手を回し、優雅にお辞儀をすると速やかに部屋を出で行ってしまった。


その所作は惚れ惚れするくらい美しかった。