お嬢様になりました。

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いい香りがする。


何の香り?


……花?


目を開けたいのに、何故か中々開けられない。


体が怠くて頭も痛い。



「やぁ、目が覚めたんだね。 おはよう。 中々目を覚まさないから心配したよ」



誰……?


直ぐ近くで知らない男の声がした。



「っ……」



何かが頬に触れ、心臓が飛び跳ねた。


ゆ、び……?



「驚かせてごめん。 早く目を開けて……その綺麗な瞳に早く僕を映して……」



ストーカー……その言葉が頭に浮かんだ。


間違いない。


この人がストーカーだ。


怖い。


体がいう事を聞かないのもあるけど、怖くて目を開けられなかった。



「お姫様は王子様の口付けで目を覚ます。 口付けがまだだから、君は完全に目覚める事ができないんだね? 僕が口付けをすれば、君の目は開かれるのかな? きっとそうだ……絶対そうだ」



何言ってんの?


怖い……怖い……っ!!


また頬に冷んやりとした感触がして、今度は直ぐにそれが指だという事が分かった。


頬に添えられた指はスーッと頬をなぞる様に滑り落ち、顎先で動きを止めた。



「なんて愛らしい唇なんだろう」