お嬢様になりました。

女子トイレに着き、私は中に入らず壁に寄っ掛かって立った。


隣には男子トイレもあるため、男性も女性行き交いしている。


時間が時間だからか、男性よりも女性が多い。


暫くすると人通りが止み、通路はシーンと静まり返った。


普段中々一人になる時がないから、ストーカーは直接接触しようとしてこないんじゃないかと思った。


いつも私の事を見てるみたいだし、今私が一人でいる事も知ってるはず。


今はそうじゃなきゃ困る。



「すみません」



そんな事を考えていると、突然男性に話しかけられパッと顔を上げた。


話しかけてきたのは、キチッとスーツを着ている中年の男性だった。


私が怪訝そうに眉を寄せると、男性は慣れた様に微笑んだ。



「失礼ですが、宝生院様でいらっしゃいますか?」

「……貴方は?」

「大変失礼致しました。 私、従業員の浜崎と申します」

「何か御用ですか?」

「宝生院様が中々お戻りにならないと、お付きの方がご心配なさっております。 お見かけしたらお連れする様にとの事でしたので、お探ししておりました」



本当の事を言ってる?


それとも嘘?


でもこの人本当に従業員っぽいし……それにこんな年配の人が女子高生をストーカーしたりする?