お嬢様になりました。

帰りの車の中、学校から家までの見慣れた景色を眺めていた。


手に握っている携帯。


“今日も真っ直ぐ家に帰るの? いつデートする? もうプランは考えてあるんだ。 楽しみにしててね”


さっき届いたメールに書かれていた文章。


頭から離れない。


頭の中で何度も繰り返される。


何度も何度も頭の中で繰り返される度、携帯を持つ手に力が篭る。


一方的に私の事を知ってるだけのくせに、彼し面なんて最低。


それもやり口が気持ち悪過ぎる。



「はぁー……」



自然とため息が漏れた。


いつ迄こんな怖い思いをして、気の休まらない生活しなくちゃいけないの?


気が滅入るってこういう事なのかな?


まさか自分がストーカーに会う日がやってくるなんて……思ってもいなかった。


タイミングよく隆輝が婚約解消しようって言ってくれて良かった。


ストーカーの行動がエスカレートしたら、矛先が隆輝に向いてたかもしれない。


でもストーカーは私と隆輝が婚約解消したこと知らないんだよね。


ストーカーだけじゃない。


誰も知らない。


まだお祖父ちゃんが日本に戻ってきてないから、隆輝はお祖父ちゃんと話をしていない。


だから誰にも話せないでいる。



「荒木さん」

「はい、何でしょうか」

「寄ってもらいたい所があるんですけど……」