お嬢様になりました。

止める間もなく隆輝の拳が山口君の頬に直撃した。


無防備だった山口君は、勢いよく後ろに倒れこんだ。


咄嗟の出来事に開いた口が塞がらない。



「うっ……っ……」



倒れこんだまま頬に手を当て、苦しそうな声を漏らした山口君の声にハッとなった。



「山口君ッッ」



慌てて掛けよって山口君の上半身を起こした。


辛そうに顔を歪める山口君。


酷い……。


頬が赤くなってる。



「自分が何したか分かってんの!?」

「うるせぇよ」



煩いって何?


人を殴っておいてその態度はないんじゃないの!?



「あんたッッ……」

「僕はっ、大丈夫ですから……喧嘩はしないで下さい」



殴られた側なのに、何で山口君が申し訳なさそうな顔をするの?


私は納得出来ない。


でも、山口君はもう私に文句を言ってもらいたくないのかもしれない。


だから私の言葉を遮ったのかもしれない。



「チッ……」



隆輝は舌打ちすると、美術室からさっさと居なくなってしまった。