お嬢様になりました。

「じゃあ私は夕食の支度しようかしらね」

「え!? 佐和さんが作るんですか!?」

「えぇ、そうよ」



ニッコリ微笑む佐和さんの顔は、お母さんの顔だった。


女性誌に載っている佐和さんからは想像もできない顔。


てっきりシェフか誰かが、ご飯の用意をするんだと思ってた。



「私もお手伝いしてもいいですか?」

「そう? ならお願いしようかしら」

「はいっ!!」



久しぶりの料理に胸がワクワクする。


それに誰かと台所に並んで料理するのは初めて。


お母さんが生きてた時は全く料理ができなかった。


しようともしなかった。


一人になって料理を覚えた。


料理をするようになって初めて思った、お母さんと一緒に料理したかったなって。



「俺も手伝う」

「あら、珍しい事もあるものね」

「玲が手伝うなら僕も手伝う!!」



この二人、実は兄弟あべこべなんじゃないの?


玲の方が落ち着いててお兄ちゃんっぽい。



「二人の気持ちは嬉しいけど、まともに料理できない人に台所に立たれても邪魔なだけよ。 大人しくテレビでも見てなさい」

「…………」

「…………」



玲も和寿さんも黙り込んでしまった。


反論できないくらい、料理できないんだなと思った。