お嬢様になりました。

恐る恐る顔を上げ、玲の顔を見ると、静かな怒りのオーラが滲み出ていた。



「れ、玲……?」



私の声に反応した玲は、私の顔を見るなり笑みを零した。


良かった。


いつもの玲に戻った。


体を起こし座り直すと、和寿さんはシュンっと肩を落としソファーに座っていた。


なんかちょっと可哀想……。



「今のは和寿が悪いわよ。 玲に嫌われたくなかったら、少しは大人しくしてなさい」

「…………」



ぶすくれて紅茶を飲む和寿さん。


元々整った顔立ちをしているからか、そんな表情も様になっていて、可愛いと思ってしまった。


不貞腐れてテレビを見始めた和寿さんを眺めていたら、玲に頭を撫でられた。



「兄貴見ながら何にやけてんの?」

「和寿さんって本当に玲の事大好きなんだなぁーって思って。 兄弟っていいね」

「そうか?」

「そうだよ。 私は一人っ子だから羨ましい」



今はお祖父ちゃんがいるから一人っ子でも寂しいとか思わないけど、一人で生活してた時は、兄弟がいたら少しは違ったのかなーなんて思った事もあった。



「葵ちゃん、夕食食べて帰るでしょ?」

「え、でも……」

「食べてってくれたら嬉しいな」



チラッと和寿さんを盗み見ると、バチっと目が合ってしまった。


すぐそらされたけど。



「兄貴の事は気にしなくていい」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「チッ」



今の舌打ちは聞かなかった事にしよう。