お嬢様になりました。

突然お腹に腕を回され、頭に重みを感じた。


ここでこんな事をするのは一人しかいない。



「玲、ダメだよ。 みんなに勘違いされる」

「構わない」

「あのねぇ……」



私の立場も少しは考えてよ。


さっき松本さんとスキャンダルの話したばっかりなのに、気まず過ぎる。



「レイ、宝生院さんが困ってるだろう」

「余所見したら許さないって言った筈だけど?」

「ひゃっ」



玲は松本さんの言葉を聞き流し、私の耳に息を吹きかけた。


思わず変な声が出てしまい、慌てて口を押さえた。



「レイ、悪戯がすぎる」

「いいだろ、別に」

「いいわけないだろ。 もう少し人目を気にしなさい」

「周りに人が居なかったらいいわけ?」

「子供じゃあるまいし、そういう屁理屈を言うんじゃない」



松本さんははぁーっとため息を零すと、頭を抱えてしまった。


このやり取りを見て、私までため息がこぼれそうになった。


本当にいい方向に変わったんだろうか?



「葵、行こ」

「え? 撮影は?」

「終わった。 って事で帰るから。 お疲れ様」

「はぁー……お前って奴は反省無しか。 まぁいい、問題起こすなよ」

「はいはい」



私は松本さんに頭を下げ、玲に手を引かれるまま、スタジオを後にした。