お嬢様になりました。

花火が終わり、周りの人たちがぞろぞろと動き始めた。


そんな中立ち止まっているのは私と隆輝だけだった。


私たちの事を邪魔そうな顔で見る人たちもいれば、隆輝の顔を見てキャーキャー言っている子達もいた。



「はぐらかしてんじゃねぇよ。 俺は本気で言ってんだ」

「…………」



そんな事わかってる。


分かってるからこそ、なんて答えたらいいのか分からなかった。



「いたぁぁぁーっ!!」



聞き慣れた声が聞こえ、隆輝から体を離した私は声のする方に顔を向けた。


目を向けた先には、満面の笑みの華がいた。


華の顔を見て、私はホッと胸を撫で下ろした。



「もうっ、心配したんだよ!?」

「ごめん、迷子になっちゃった」

「宝生院さんだけならまだしも、隆輝さんまでいなくなるから心配したわ」



私の事はどうでもよかったって事!?


見かけによらず、橘さんの性格ってキツイ。



「葵、大丈夫?」



玲が心配そうにかおを覗き込んできた。


玲にも心配掛けちゃったな。



「大丈夫だよ。 心配してくれてありがとう」

「こいつは昔から悪運が強いから、心配しなくても大丈夫に決まってんだろ」

「はぁ!? それは竜樹でしょ!?」

「お前だろうがよ!!」



竜樹と睨み合っていると、苦笑いを浮かべた華が間に入ってきた。