お嬢様になりました。

顔を上げた先にはさっき見た大きな花火があった。


でも、一人で見た時とはまるで違う。



「綺麗……」



純粋にその言葉が漏れた。


そこに淋しさも悲しさもなかった。



「泣いて見逃したら勿体無いだろうが」

「そうだね……勿体無い……」



隆輝に抱きしめられたまま、今にも頬が触れ合いそうなまま花火を見続けた。


綺麗な花火を目で楽しみ、大きな花火の音を耳で楽しみ、そして……隆輝の温もりを浴衣越しに感じていた。



「見つかって良かった」



ボソッと聞こえた隆輝の声に、思わず笑みが零れた。


本当に心配してくれていたんだと、その声色で余計に伝わってきた。


私は空を見上げたまま、隆輝の胸に頬を当てた。



「誰かと一緒に見る花火は、一段と綺麗だね」

「花火なんて一人で見ようが、誰と見ようが一緒だろ」

「違うよ。 一人で見た時、凄く悲しかった。 今年も誰かと一緒に見られて良かった」

「お前はもう一人で花火を見る事なんてねぇよ」

「え……?」



顔を上げ直ぐ側には隆輝の瞳。


澄んだ瞳は私を優しく見つめている。



「これからは、お前の側には俺が居るんだからな」

「なっ何、言って、んの? ど、とうせ、この雰囲気に流されてポロッとそんな事言っちゃったんでしょ!?」