お嬢様になりました。

みんなと同じ様に空を見上げると、大きく咲いては散っていく花火が次々と挙げられていく。


その様が美しくて思わず涙が零れた。


それだけじゃない。



「お父さん……お母さん……」



小さく零れた声は花火の音に掻き消され、誰の耳にも届かなかった。


震える唇を手で押さえ、花火をじっと見つめた。


お父さんとお母さんと三人でマンションのベランダから見た花火は、格別に綺麗で、今でもその時の事を鮮明に覚えている。


中学最後の夏に見た花火が、両親と一緒に見た最後の花火だった。


去年はここまで感傷的にならなかったのに、どうして今年はこんなにも辛いんだろう。


こんなに綺麗な花火を見ているのに。


どうして?


涙は止まらなかった。


だけどそんな私に目を向ける人は誰一人としていない。


それだけがせめてもの救いだった。


みんなが花火に気を取られているうちに泣き止まないと……。



「ッッ!?」



突然腕を掴まれ、心臓が飛び跳ねた。


目の前にいる人、そして腕から伝わる熱を感じ、更に涙が溢れた。



「……隆輝」



肩で息をしている彼は、息を乱し額から汗を流していた。