お嬢様になりました。

いつまでも渋い顔をしている隆輝に呆れていたら、突然空いている方の手を握られた。


驚いて顔を向けると、涼しい笑みを浮かべた玲と目が合った。



「交代」

「あ? ふざけ……」

「隆輝さん!! あれは何なんでしょうか?」



隆輝の言葉を遮り、無理矢理隆輝と腕を組む橘さん。


流石だ。


あの強引さは真似できない。


隆輝は橘さんに引きずられ、後ろにいってしまった。


隆輝は橘さんと初めて会った時おとなしい印象をうけた様だけど、どんだけ見る目ないんだと言いたくなるほど橘さんは積極的だと思う。



「葵のお勧めは?」

「私の? んー……やっぱかき氷かな」

「じゃあそれ食べよう」

「うんっ」



夏と言えばかき氷でしょ!!


この蒸し暑い中だと最高に美味しいはず。



「ダメだよ!!」



かき氷の屋台に着くと、玲がすかさずお金を出した。



「前も言ったけど、こういう時は男がお金を出すものだ」

「でも……」



玲のすらっとした人差し指が唇に触れ、私は何も言えなくなってしまった。


この心地のいい感覚。


私はこの感触を忘れられないだろう。


何も言えなくなった私に微笑んだ玲は、私たち女子にそれぞれかき氷を買ってくれた。