お嬢様になりました。

手を繋ぎ、隣を歩く隆輝はとにかく煩くてしょうがない。


まるで幼稚園児を相手にしているみたいだ。



「あれは何だ」

「ジャガバター」

「あれは?」

「チョコバナナ」



どれも見たまんまでしょうが!!


そう突っ込みたい気持ちを抑え、隆輝の疑問に答えていった。


こんなに楽しそうにしてる奴に、突っ込める訳がない。



「葵」



竜樹に呼ばれ振り返ると、目の前にフワフワしたものが現れた。



「お前好きだろ?」

「ありがとー!! 覚えててくれたんだ」

「まぁな」



竜樹から受け取ったフワフワをパクッと一口口に入れると、甘い味が口の中に広がった。


これを食べるとお祭りに来てるんだなーって実感する。



「何だよそれ」



何故か隆輝はブスッとしていた。


人ごみに疲れたのかな?



「これは綿飴だよ。 食べる?」

「……食べる」



そんな嫌そうな顔して言わなくてもいいじゃん。


少し呆れつつも、隆輝の口元に綿あめを持っていった。


綿飴を口に入れた隆輝は眉間にシワを寄せ、渋い顔をした。



「甘……」

「甘いの苦手なの!?」

「好きじゃねぇ」



つまり苦手って事でしょ!?


無理して食べなくて良かったのに。


変な奴。