お嬢様になりました。

首を傾げると、不機嫌な顔の隆輝が口を開いた。



「こんな人ごみの中を歩けって言うのかよ」

「花火大会なんだから人が多くて当たり前でしょ」

「屋台見て回って何すんだよ」

「食べたい物があったら買ってたべたり、遊んだり、色々だよ」



橘さんの顔がだんだんと青ざめていく。


何で?



「不潔だわ!!」

「……は?」

「私たちが屋台の料理なんて口にするはずがないでしょう!?」



そんな事言われたって……それが花火大会のいい所なんじゃないの?


屋台で買って食べるから、更に美味しく感じられるんでしょ?



「だったら食べなきゃいいんじゃない? そんな事思ってる人に食べられても、屋台の人も迷惑だよ」



私の言葉に顔を赤く染める橘さん。


あれ?


何かまずい事言っちゃった!?



「お前は言葉がストレートすぎんだよ」



耳元で竜樹にボソッと呟かれ、私は苦笑いを浮かべた。


だってしょうがないじゃん。


他に何て言えば良かったわけ?



「俺は葵が一緒なら何処にでも行くよ」



そう言って、玲が私の手をにぎった。


浴衣姿の玲に見惚れつつ、恥ずかしくて顔を俯かせた。