お嬢様になりました。

「分かった」



重忠さんの言葉を聞き、私はホッと胸を撫で下ろした。


顔をあげると優しい目をした重忠さんと視線がぶつかった。



「ワシのところに養子に来んか?」



ホッとしたのも束の間。


重忠さんのもっとあり得ない一言に耳を疑った。



「聞いておるのか?」

「えっと、あの……はい、聞いてますけど……冗談ですよね?」

「冗談でこんな事を言う筈がなかろう。 ワシは本気じゃよ」



確かに。


重忠さんの目は至って真剣だった。



「待って下さいッッ!! だって、重忠さんには重忠さんの家庭があるんじゃないんですか!?」



考えたくはないけど、お婆ちゃんと離婚してかなりの年月が経ってる訳だし、再婚しててもおかしくないよね?



「それなら心配せんでもよい。 菊代と別れてからワシはずっと一人じゃからな」

「ずっと……?」

「菊代以上に素晴らしい女性はおらんよ」



愛おしそうに頬を緩ませ微笑む重忠さん。


今でもそんな顔をするくらいお婆ちゃんの事が好きなのに、何で離れたの?


重忠さんもお婆ちゃんと同じなの?


好きだから傍にいられなかったの?