お嬢様になりました。

きっと葵は周りの男どもに、そんな目で見られているなんて、微塵も思っていないだろう。


葵はそういうのに鈍い。


鈍すぎる。


海堂の存在も厄介だけど、他の男共も邪魔だ。



「玲? どうしたんだい? そんなに怖い顔してたら、僕の大好きな玲の綺麗な顔が台無しだよぉー!!」



兄貴の言葉にハッとした。


ダメだ。


葵の事となると、上手く自分の感情をコントロール出来なくなる。



「ちょっとぉー、私がドラマ見てた間に随分楽しそうな話になってんじゃないの」



兄貴だけでも大変なのに、ドラマを見終えた母さんまで話に加わってきた。


恐らく兄貴のこの性格は、多少なりとも母さんに似たんだと思う。



「宝生院さんって子と玲はいったいどういう関係なわけー?」

「ただの友達だよっ!!」

「なぁんで和寿が答えんのよ。 私は玲に聞いてんのぉー」



友達、か……。


葵はどう思ってるんだろう。


俺は友達のままは嫌だ。



「佐和(サワ)、玲の答えを期待しているところ悪いが、玲と宝生院さんとの間に友達以上の関係があっては困る」

「えぇー? どうしてよ? 私だっていいかげん、息子の彼女とやらに会ってみたいわよ。 男ばっかりでつまんないんだもの」