お嬢様になりました。

「葵と踊った」

「葵? もしかして同じクラスの宝生院さんの事かな?」

「そう」

「宝生院!? もしかして僕に何の報告もなく付き合ってるとかじゃないだろうね!?」



何で一々兄貴に報告する必要があるんだよ。


葵の事に関わらず、他の事も兄貴には自分から話をしようとは思わない。


反応が大袈裟でうざったいから。



「お前は本当に弟離れができないな。 まぁそんなに心配しなくても、付き合ってはいないよ」

「何で父さんにそんな事が分かるんだよ。 もしかして僕に隠れて、父さんとだけ仲良くしてるのかい!?」



よく言えば想像力が豊かだけど、ここまでくるとただの馬鹿だ。



「宝生院さんは海堂君の婚約者だからね」

「なぁんだ。 心配して損したよ。 でもそれなら皆ガッカリするだろうな」

「皆って何?」

「玲が僕の話に興味を持ってくれるなんて感激だよーっ!!」



目を輝かせながら抱きつこうとする兄貴をサッと避けた。


勢い余って兄貴は俺の後ろに倒れこんだ。



「酷いよ、れぇいー」



兄貴は鼻を摩りながら体を起こし、甘えるような声を出した。


男のくせに何なんだこいつは……あまりの気色悪さに全身鳥肌が立った。