お嬢様になりました。

何でこんなに広いソファーでベッタリくっついて座る必要があるのか、さっぱり分からない。


兄貴の頭の中は俺にとって未知の領域だ。


別に知りたくもないけど。



「三秒以内に離れないと、一生口聞かない」

「えっ!? れ、玲!?」

「いち……に……」

「わ、分かった!! 分かったからッッ!!」



やっと兄貴の体が離れ、気分が落ち着いた。


兄貴が家に居ると疲れる。



「どうだった? ダンスパーティーは」

「……楽しかった」



楽しかったけど、ムカついた。



「何、何っ!? 玲ダンスパーティーに出たのかい!?」

「耳元で煩い」

「驚かずにいられるわけないだろ。 今迄は面倒臭いって、ワザと仕事入れてたじゃないか」



葵がいたから参加した。


葵のドレス姿を見たかった。


想像をはるかに超え、ドレス姿の葵は綺麗だった。


外見だけじゃなくて、内面の美しさも滲み出るほどに。



「参加したしただけではなくて、女性と踊ったんだって?」

「えぇーっ!? お、踊った!? いったい何処の女豹と踊ったんだい!? 僕の玲がけがされたぁぁぁー」



女豹ってなんだよ。


葵は女豹と言うより、犬だ。


それも仔犬。


少しでも目を離すと、騙されてフラフラと何処かにいってしまいそうだ。