お嬢様になりました。

いったい何をしているんだか……これじゃまるで子供だな。


苛々をぶつけて、勝手に不機嫌になって……葵を困らせてる。



「葵、ごめん」

「な、何で玲が謝るの?」

「俺が悪いから」



葵の頬にそっと触れた。


俺の手が触れると同時に、葵の体はビクッと震えた。


まだ慣れてくれてないのかと思うと、苦笑いが漏れる。



「泣かせてごめん」

「私が勝手に泣いただけだから……ごめん」

「謝らせてごめん」

「れ、玲?」

「……嫉妬してごめん」



目を見開き口をぽかーんと開け固まる葵に、笑って見せた。


もう自分の気持ちに知らんふりはできない……やっと自覚した。


俺はお前が好きで好きでしょうがない。


でも今想いを伝えたところで、葵はきっと困った顔をする。


だから、今はまだハッキリとは伝えない。



「帰ろう」

「え……?」

「迎えの車、もう着いてるんじゃないのか?」

「えっ、あっ、そ、そうだねっっ」



慌てた様子で腕時計で時間を確認する葵。


明らかにテンパっているのに、それを悟られない様に頑張っている姿に、つい口元が綻んでしまう。



「はい」

「な、何!?」

「迎えの車の近くまでならいいだろ? それなら見られない」



葵は少し考えると、俺の手を遠慮がちに握った。


今はこれでいい。


葵がありのままの姿で俺の側に居てくれれば、それでいい。