お嬢様になりました。

でもどうして?


私の顔を見て目を細める重忠さん。


この目、どこかで……。


あ……っ!



「お婆ちゃんに会いに来てくれましたよね? お通夜の夜に……」



重忠さんは悲しげに微笑んだ。



「思い出してくれたんじゃな。 あの日行ったが会わせてはもらえなかったよ……自業自得じゃがな」



お母さんがあんなに怒ってた理由が今分かった。


でも、あの時重忠さんだと分かっていれば、私はお母さんの反対を振り切ってでもお婆ちゃんに会わせてた。


お婆ちゃんには沢山思い出をもらった。


それなのに、私はお婆ちゃんの為に何一つしてあげられなかった。



「お婆ちゃんの事、ずっと想っててくれたんですね」

「勿論じゃよ。 私の心の中にはいつ何時も菊代がおった。 それは今でも変わらんよ」



胸がキュッと締め付けられた。


唇の裏側をギュッと噛み締め、零れそうになる嗚咽を堪えた。


涙は容赦なく流れ落ちていく。



「良かったッ……お婆ちゃんも同じ事、言ってッましたッッ。 離れていても、ずっと心の中にはッ重忠さんが居るって……ッッ」

「菊代が? そうか……」



重忠さんは片手で顔を隠すように目を覆い俯くと、暫くの間肩を揺らしていた。