お嬢様になりました。

玲の手が背中に回され、私は玲の肩に手をのせた。


空いた手を絡め、音楽にのって玲が優雅にリードしてくれる。



「足踏んじゃったらごめんね……」

「いいよ、いくら踏んでも。 その代わり、俺から目を逸らさないで」

「……うん」



私を見下ろす玲の瞳が凄く色っぽくて、身体中の自由を奪われる様な感覚に襲われた。


フワフワしてて、足の感覚もよく分からない。



「どうして、海堂と来たの?」

「…………」

「答えたくない?」



……答えたくない。


でも私がここで何も言わなくても、そのうち玲の耳にも入る事。


それなら私の口から伝えた方がいいのかもしれない。



「……婚約者、なの」

「そう……海堂が好き?」

「…………」



そんなんじゃないって言いたかった。


首を横に振りたかった。


だけどそんな事をすれば、私と海堂の仲が嘘だとどこかから漏れてしまう可能性がある。


お祖父ちゃんも海堂のご両親も、私たちは好き同士だと思ってる。


一度引き受けた以上、安易な行動をとるわけにはいかない。


たとえ相手が玲だとしても言えない。


胸が苦しい……でも、これは私の責任……。