お嬢様になりました。

場違い過ぎる。


今、消えてなくなりたい気分。



「宝生院さん?」



心配そうに私の顔を覗く山口君に、笑って見せた。



「つかまえた」

「え……っ!?」



突然お腹に腕が周り、背中に温もりを感じた。


程よく低くぞくっとする声の響き、そしてこの感覚……振り返らなくたって分かる。



「玲……」



頬が自然と綻んだ。


玲の温もりに助けられた……どうしていつもこんなにタイミングよく現れるんだろう。


玲は私を後ろから抱きしめたまま、私の頭に唇を落としチュッと音を立てた。



「急にそんな事したら皆驚くでしょ?」

「葵は?」

「私はもう慣れっこっ」

「そう、なら次の手を考えないといけないな」



嘘だよ。


私が一番驚いてる。


慣れる事なんてないんじゃないかってくらい、玲が側にいるだけで心臓が煩く騒いでる。


体が離れたかと思ったら、玲は腰を屈め手を差し出した。



「踊って頂けませんか?」

「喜んで」



私が玲の手を取ると、玲はフワッと微笑んだ。


この笑顔が大好き。



「山口君、また今度ゆっくり話そうね」

「は、はい」



想像していた通りの反応に、苦笑いが零れてしまった。


いつか一般生だとか特別生だとか関係なく、話ができる様になればいいな。