お嬢様になりました。

海堂を待ってなきゃいけないけど……でも……外に出るわけじゃないし平気、だよね?


何より今は一人でいたくなかった。


よくわからない感情に飲み込まれそうだから。



「山口君」



友達と楽しそうに話をしていた山口君は、振り返ると酷く驚いた顔をした。


山口君だけじゃない。


周りの生徒も山口君同様、目を見開き驚いている。



「ほ、ほ、宝生院さんッッ、こ、今晩はッッ」

「そんなに硬くならないでよ。 知ってる顔見付けて思わず声掛けちゃったんだけど、迷惑だったかな?」

「そんな、事はないで、すッッ」



口ではそういいながらも、山口君の体はガチガチだった。


今ならこうなってしまう理由がよく分かる。


一般生と特別生は別世界の人間だと思わせる程の校則を、知ってしまったから。



「転校初日は本当にありがとう。 山口君と会えなかったから、もっと迷子になってたよ」

「いえ、僕は何も……してません、から……」



相変わらず抜けない敬語。


本当は私も一般生みたいなものなのに……。


だけど一般生にはなれなくて、それでいて特別生にもなりきれない私……ここには私の居場所なんてない。


そう思わずにはいられなかった。