お嬢様になりました。

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何、この臭い……。


アルコールの臭いが鼻をさし、嫌な気分の中目が覚めた。


眩しいくらいの照明に顔をしかめた。


ここどこ?



「気分はどうじゃ?」

「へ……?」



横を向くと知らないお爺さんが椅子に座って私を見下ろしていた。


立派な白髪を綺麗に後ろに流し、とても凛々しい目をしていた。


……誰?



「ワシの事、覚えとらんかの?」



えっ!?


こんな人とどっかで会ったことあったかな?


んー……でも言われて見れば会ったことあるようなないような……。


結局分からなくて私は首を傾げた。



「覚えとらんか……まぁ、仕方がない事かのう。 お前さんはまだ幼かったし、あの時は少し顔を合わせただけじゃからな」



あの時?



「あの……すみませんが、どちら様ですか?」

「ワシは宝生院 重忠(ホウジョウイン シゲタダ)じゃ」



宝生院 重忠?


……重忠?


私はハッとして体を起こした。



「重忠って……もしかしてお婆ちゃんの……?」

「菊代(キクヨ)からワシの事を?」

「は、い……」



この人がお婆ちゃんの話に何度も出てきた“重忠さん”だ。