お嬢様になりました。

「おい」



閉まったドアを見つめていると、頭上から海堂の不機嫌な声がふってきた。


嫌々視線を向けると、顔も不機嫌そのものだった。



「お前はいつもそうなのかよ」

「……何が?」

「たかだか一介の執事とそんなに近いのかよって事だよ」

「は? 言ってる意味がわかんない」



こいつはいつもそうだ。


もっと分かりやすく話をしてくれればいいのに。



「そんなに簡単に俺以外の男に触れられてんじゃねぇよ」

「何であんたにそんな事言われなきゃいけないの!?」



本当に付き合ってるわけでも、ちゃんとした婚約者でもないこいつに何でそんな事言われなきゃいけないの?



「気に入らねぇ」

「は?」

「たからッ気に入らねぇって言ってんだよッ!!」

「ちょっ……!!」



グイッと腕を引っ張られ、無理矢理立たされると、直ぐに腰に手を回された。


密着する体。


見上げた先には海堂の整った顔。



「離し……」

「でかい声だすな。 その口塞がれてぇのか」

「ッッ!?」



昨日の事を思い出すと同時に、全身に力が入った。


あんな思いするのは嫌。