お嬢様になりました。

お祖父ちゃんが出て行き、静まり返る部屋。


その部屋には私と海堂の二人だけ。


まだ握られたままの手に視線を落とした。



「離して」



そう言っても中々離れない手。


ふつふつと怒りがこみ上げてくる。


その怒りを我慢する事なく、私は乱暴に海堂の手を振り払った。



「これでいいでしょ? もう帰って」

「まだだ」

「は? もうお祖父ちゃんに話ししたじゃないッッ!!」



海堂の顔が滲み、私は慌てて顔を背けた。


こんなに辛い罪悪感に苛まれるんだったら、こんな馬鹿な事引き受けなきゃ良かった。


胸の中は後悔で一杯だった。



「後はあんたの方でどうにかしてくれればいいからッッ。 私はもうお祖父ちゃんに嘘つきたくないッッ」

「つかなきゃいいだろ」



何それ?


こいつ何言ってんの?


またいつもの悪ふざけだろうと思い、海堂の顔を睨みつけた。


でも海堂はバカにしたような素振りはなくて、困惑した。



「俺を好きになれ。 そうすれば今は嘘でも最終的には本当になるだろ」

「自分が今何言ってるのか分かってんの? あんな事しておいてッッ私があんたの事なんて好きになるわけないじゃんッッ!!」



涙が零れそうになり、私は急いで目を拭った。


今こうして涙を浮かべてしまっている事自体、悔しくて堪らない。