お嬢様になりました。

もう涙は止まったし、頭もスッキリしていて冷静だ。


でも動けなかった。


私、なんて恥ずかしい事しちゃったんだろう。


子供じゃあるまいしわんわん泣いて……。


しかも玲の足と足の間にスッポリ収まっちゃってるという、なんとも気まずい体制。



「葵?」

「は、はいっ」



うげっ!!


声裏返ったっ!!


またしても恥ずかしい……。



「顔上げて」

「それはちょっと……もう少し待ってもら……」



えないかな?っとは言わせて貰えず、顎をグッと持ち上げられてしまった。


そんな至近距離で見なくてもいいじゃん。


今の私の顔きっと凄い顔してると思う。



「目が真っ赤」

「し、しょうがないじゃんっ!!」

「可愛い」



はい!?


今可愛いって言わなかった!?


聞き間違いだよね?


ポカーんと玲の顔を見ていたら、玲は背筋が凍る様な黒い笑みを零した。



「でも、これは許せない」

「これ?」



玲は表情をなくし、私の鎖骨を指でツーっとなぞった。


その仕草と妖艶さにぞくっとした。



「これ、海堂の仕業だろ?」



これ?


さっきから何言ってるの?



「これって何が?」

「キスマーク」

「は!?」



キスマークってあれでしょ!?


赤くなるやつ!!


身体がカッと熱くなり、私はキスマークを隠そうとブラウスに手を伸ばした。


だけどその手は玲に掴まれてしまい、余計キスマークは露わになってしまった。