お嬢様になりました。

信号が青になり、ペダルを力強く踏み込んだ。


ただ鳳学園の生徒とすれ違っただけなのに、私の胸は酷く騒ついた。


同時にお婆ちゃんとの思い出も溢れてきた。


お婆ちゃん、ごめんね。


そんな思いで胸はいっぱいだった。



「おはようございますっ」

「おはよう」



バイト先のコンビニにに着くと、店長が笑顔で迎えてくれた。


笑うたびにムニっと盛り上がる店長の頬を見ると、自然と笑みが零れた。


今日もいつもと変わらない店内の様子。


そして風景。


仲の良いお客さんとお喋りして、同じバイトの子とお喋りして……誰かと一緒にいると、一人で家にいる時よりも落ち着いた。



「熱っ!!」

「大丈夫!?」



同じバイトの子は私の手を掴むと、急いで蛇口から水を出し冷やしてくれた。


何やってんだろう……。


揚げたチキンをケースの中に入れようとして、手がケースに触れてしまい突然の熱さにビックリして落としてしまった。



「手は大丈夫かい?」

「すみません……このチキン買いとります」

「気にしなくていいよ。 大石さんに怪我がなくて良かったよ」



駆け付けてくれた店長の優しい言葉に、私は泣きそうになりながら頭を下げた。