お嬢様になりました。

私がどれだけ暴れようと、玲の腕の力は弱まらない。


頭の中は混乱し、我慢していた涙が溢れてくる。



「ずっとこうしてる。 お前が落ち着くまでずっと」



玲の真剣な声に心が震えた。


この人はいったい何なんだろう。


最初は私にあんな事したくせに、今は私の事をこんなに心配してくれる。



「だから無理して笑わなくていい」



その言葉に、とうとう我慢していた涙が次々とこぼれ落ちた。



「うっ……っ……」



嗚咽を漏らす私の背中を優しい手つきで撫でてくれる。


いつの間にか恐怖はなくなっていて、代わりに安堵感が芽生えていた。


一度零れ始めた涙は中々止まらない。


私は玲の胸に顔を埋め、背中に腕を回した。


細いのにしっかり筋肉はついていて、女の私とは違うんだなと思った。


温かい。


玲の温もりを全身に感じる。



「葵……大丈夫だから。 もう、何も怖くないよ」



まるで小さな子供をあやす様な柔らかい口調。


玲の意外な一面を見て、こんな時なのに少し嬉しかった。


私は甘える様に頬をすり寄せた。


お婆ちゃんを亡くしてから、こうして人に甘える事を忘れていた様な気がする。