お嬢様になりました。

動く気力がなくて、膝を抱え顔を埋めていた。


いくら考えても分からない。


何で、海堂があんなに怒ってたのか。


何で、海堂があんな事をしたのか……。


まだ身体中に海堂の感覚が残ってる。


温もりも残ってる気がする。


そんなわけないのに。


ーガラガラッ。


ドアが開いた音がして膝を抱える腕に力が入った。


誰かが近づいてくる。


誰?


海堂?


顔があげられない……。



「葵」



この声……。



「れ、い……」



顔をあげると少し息を切らした玲が立っていた。


涙が込み上げてくるのが分かり、私はグッと我慢した。



「どうしたの?」



無理矢理笑顔をつくった。


無理に笑うのは慣れっこ。


お婆ちゃんが死んだ時はまだ子供だったから大泣きした。


でもお父さんとお母さんが死んだ時はもう高校生になってて、周りに心配をかけたくなくて笑う事を覚えた。


玲はいつものポーカーフェイスのまま近付いてくると、床に膝を着くなり私を抱きしめた。



「ヤッ、ヤダッッ!! 離してッッ!!」



さっきの出来事が鮮明に蘇る。


恐怖も同時に……。